「熱海温泉 毒饅頭」販売店(熱海市咲見町)が3月26日、移転リニューアルオープンした。経営は伊豆半島(同)。
同店は2018(平成30)年8月8日、熱海市役所近くで開業。同社の布施和広社長は熱海出身で、都内で広告関連の会社も経営している。「地元に貢献できる事業にしたかった。自分の経験を生かし、新名物を作ることでその商品にだけ注目されるのではなく、他の店や熱海自体のプロモーションにつなげることが目的」と開業の経緯を説明する。開業するやいなや、多くのメディアで紹介されるなどし、「毎週土曜のみ営業し、1日300個限定の商品が1時間で完売していた」という。品質と価値を保つため、個数を限定して販売したことで、「激レア熱海グルメとして紹介され、さらに人気になった」と話す。
移転先の新店舗は熱海駅から徒歩5分ほどの場所に位置する。初日となった26日は、特に大きな告知をしなかったものの、早朝から開店を待つ客の姿があった。「コアなファンに、朝8時前から待っていただいていた」という。開店記念として、27日も1000箱限定で「毒饅頭」を無料進呈する。布施さんは「ようやく緊急事態宣言が解除されたので、地元やファンの方への還元と、店のプロモーションを目的に無料で配る。1人1箱で、SNSで紹介してもらう条件が付くが、たくさんの人に毒饅頭を味わってほしい」と期待を込める。
販売する商品は、特製の木箱に入った「初代・熱海温泉 毒饅頭」、「二代目・熱海温泉 毒饅頭」(以上1,500円)、紙箱入りの冷やしまんじゅう「三代目・熱海温泉 毒饅頭」(500円)、カラクリ箱「奥の手」(9,010円)などの定番商品に加え、新商品の肉まんも。肉まんは「赤鬼まん」「よだれ肉まん」(以上500円)の2品で、「地元あしたか牛を使い、『赤鬼まん』は激辛。開発に1年以上かけた」という。布施さんは「毒饅頭にしても、肉まんにしても、一過性の商品にならないよう、本物志向で味や原材料にもとことんこだわり、長年続くブランドにしたい」と話す。
布施さんは「温泉まんじゅうは温泉地の定番だが、突き抜けた商品を作ろうと思った。『毒饅頭』を開発するときも、200種類くらいの薬草を試した。ドクダミも最初はなかなかえぐ味が抜けずに苦労した。畑栽培のえぐ味が出ないドクダミと出合い、ようやくほうじ茶のような豊かな味わいにたどり着いた。まんじゅうの皮に、そのドクダミと国産の本クズを使い、あんには北海道産の小豆あんを使っている」と、商品のこだわりを説明する。まんじゅうを入れる箱には、桐の木箱を採用。三重県の木工職人が全て手作りする木箱だという。木箱の「毒饅頭」の文字は、書道家の武田双雲さんの書をあしらう。
布施さんは「今後もこだわりの新名物を開発していく。熱海は新しいスポットが次々を生まれている。いつ来ても新しい発見があるのが熱海なので、何度でも熱海に遊びに来てほしい。自分たちは熱海温泉や地のものを大切にして、商品を開発し、プロモーションをしていくことが役割。周辺の店や熱海の街にも注目が集まることが大事。『毒饅頭』がそのきっかけになれれば」と期待を込める。
27日までは無料進呈のみ。販売は翌28日から。営業時間は10時~17時(27日は12時~)。