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SNSで支援を呼び掛けた熱海の老舗和菓子店 全国から注文と励ましの声

「熱海 本家ときわぎ」の加藤さんと両親

「熱海 本家ときわぎ」の加藤さんと両親

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 熱海の老舗和菓子店「熱海 本家ときわぎ」(熱海市銀座町)がSNSで購入の支援を呼び掛けて1週間がたち、店の予想を大きく上回る数の注文が全国から入っている。新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受ける老舗和菓子店には、注文と共に多くの励ましの声が届いている。

「熱海 本家ときわぎ」のきび餅

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 同店の加藤寿美江さんがフェイスブックで悲痛な声と支援の呼び掛けを行ったのが1月12日。「せっかく作ったお菓子達だけでなく、命を吹き込む前の材料の段階で、廃棄しなくてはならない状況に、置かれ始めております。この苦しい状況を助けて頂きたく、温かいご支援を、心よりお願い申し上げます。私どもは、外出を制限されている緊急事態宣言下のお客様に、美味(おい)しいお菓子を、便利な方法でお届けしたい。。。と願う気持ちもさることながら、本当は、お店の経営を助けて下さいませ。。。という、切なるお願いが本音です」(原文ママ)と投稿し、特別価格のセット商品の購入を呼び掛けた。翌13日、熱海経済新聞の記事を通じて全国にその話題が広がると全国各地から注文が殺到。この日は定休日だったが、従業員は出勤して鳴り止まない電話やメールの対応に当たった。

 その後も注文や問い合わせが続き、加藤さんは「受注から製造、梱包、発送まで手作業なので、とても4人の従業員では回らないほど多くの注文を頂いた。対応や製造のキャパシティーを超えてしまい、現在は数カ月お待ちいただくことを了承いただいて注文を受け付けている」という。実際に様子を気にして来店する客や、応援の言葉をつづった手紙を届ける客の姿も見られ、加藤さんが涙する場面も。

 一方で、対応の遅れや支援の呼び掛け自体に厳しい声もあったそうで、「準備不足や認識の甘さなどでおしかりを受けるのはごもっともで、大変申し訳ない。大切な信頼を損ねてしまうことが不安。おしかりは真摯(しんし)に受け止めて、今後改善していくとともに、この感謝の気持ちをこれから恩返ししていくことができれば」と話す。

 80歳を超えても現場に立つ加藤さんの父、前澤章治社長も「全国から注文を頂き、本当に感謝しかない」と笑顔で話す。高齢の体を気遣って差し入れをする客や、温かい声を掛ける地域の人もいる。加藤さんは「新型コロナが落ち着き、自由に旅行できるようになった時、熱海を思い出していただき、街を楽しんでもらえれば。私たちも元気に笑顔でお客さまを迎えられるように頑張っていく」と意気込みを見せる。

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