網代の削り節製造卸会社「水野商店」(熱海市網代)が4月1日、一般客向けのネットショップを開設し、小売販売をスタートした。削り節を使ったペット用商品も新たに開発し、伝統的な食材を使って新たな販路開拓に挑む。
1964(昭和39)年創業の同社。先代は元々、網代で漁師をしていたが、けがをきっかけに漁師をやめて削り節の事業を起こした。自社工場で蒸す工程から行い、こだわりの製法で削り節やだしパックを製造する。これまでは主に業務用として、市内や伊豆、箱根などの旅館やホテルなどに卸してきた。一般客向けの小売を始めたことについて、同社の水野千晶取締役は「最近、家で過ごす時間が増えて自宅で料理をする人が増えている。当社の削り節は市内の老舗旅館でもずっと使っていただいている。だしは無添加で、健康志向の高い人に適している。和食の良さ広く知ってもらいたい」と話す。
小売販売に当たり、パッケージも親しみやすいデザインに一新した。商品は、かつお節、炭焼きさば節、炭焼きあご煮干しなどをブレンドした「天然だしパック」(500円)、かつお節で取っただしと昆布やクルミなどを煮て作った「削り節屋の金のふりかけ」(650円)など。現在は自社のネットショップのみで販売しているが、今後は旅館や土産物店などでの販売も計画している。削り節やだしを使った料理レシピなども、動画で公開する予定だという。
ネットショップの開設に合わせて、ペット用商品の販売も開始した。「鰹節チップス」「ふわふわマグロ節」(以上、500円)、「お魚パウダー」(400円)の3品。飼い犬のムーンちゃんが好んで食べてきたことから、「moon’s Treats(ムーンズトリート)」と名付けた。水野さんは「ムーンは生まれつき食物アレルギーがあって、食べられるものが限られていた。通常の花鰹よりも少し厚めに削ってあり香りがあるので、これだと良く食べる。無添加で、自然の海水の塩分のみ。認知症予防にもよいとされるDHAやEPAも豊富で、おやつやトッピングとして最適。今後、かつお節粉を入れたクッキーなども開発していきたい」と意気込みを見せる。
水野さんは「網代は子どもや若い人が減っているので、新しいことにチャレンジして少しでも網代のことを知ってもらうきっかけになれば」と期待を込める。