熱海の「MOA美術館」(熱海市桃山町)が8月11日、「芸術との出会いの場を未来へつなぐ」と題したプロジェクトを立ち上げた。クラウドファンディング(CF)で支援を募集する。
1982(昭和57)年に開館した同館。東洋美術を中心に絵画、書跡など国宝3点、重要文化財67点を含む約3500点の作品を所蔵する。作品の展示に加え、音楽、舞踊、食文化など幅広い文化活動やイベントを展開し、熱海を代表とする観光スポットの一つとなっている。
今回のCFは、同館にとって初めての試み。同館の担当者は「昨年は新型コロナの影響で、同館が主催する全国児童作品展を開催することができなかった。今後、作品展を継続し、さらに充実させていくことと、当館の運営費に充てることを目的に、CFでプロジェクトを立ち上げた」と説明する。
全国児童作品展は、1989(平成元)年に第1回を開催し、2019年で31回目を迎えた展示会。2019年には、海外113会場、国内409会場で開催し、応募総数44万点、参加校数9000校を超える規模を誇る。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催を見合わせたが、「児童作品展の活動は、子供たちの情操教育のために重要な役割を担っていることを再認識した。多くの人に助力してもらい、今後も継続して進めていきたい」(担当者)と言う。
CFの目標金額1,000万円で、集まった資金は2022年3月31日までの全国児童作品展の開催費と同館の運営費に充てる。支援のコースは3,000円から用意し、同館の招待券やオリジナルグッズのほか、「黄金の茶室で抹茶体験」、「坂東玉三郎舞踊公演への招待」、「食事付きナイトミュージアムへの招待」など、特別感のあるリターンもそろえる。
同館は児童作品展のほか、小中学生を対象に美術品を使った鑑賞授業や、東日本大震災被災地の学校で伝統工芸のワークショップを行うなど、児童や教員の美術への理解を深める文化活動を行なっている。工芸と食事を楽しむイベント「Kogei dining」、日本を代表とする芸能や音楽を鑑賞する「熱海座」の開催など、日本文化を積極的に発信する役割も担う。
同館の担当者は「作品展は、子供たちが自分で作品を作ることで芸術に出会う貴重な場となっている。これからも作品展や当館の展示、イベントを通して、多くの人が芸術を出会う機会を提供していきたい。当館に愛着を持ってもらえるようにいろいろなコースを用意したので、プロジェクトに参加してもらえれば」と呼び掛ける。
クラウドファンディングサイト「READYFOR」で9月30日まで支援を求める。