熱海で新たに始まったプロの芸術家を育成する芸術講座「熱海芸大塾」の開講式が4月9日、熱海山口美術館(熱海市渚町)で行われた。主催は同美術館を運営する山口文化財団(埼玉県さいたま市)。
2020年12月に開館した同美術館。ルノワール、ピカソなど世界の名画から、村上隆、草間彌生などの現代作品まで約200点の作品を展示する。同財団が主催する国際公募展アートオリンピアなどで芸術家の発掘や育成にも取り組んでいる。
新たに始まった芸大塾開講の経緯について、山口伸広理事長は「美術館は芸術作品を見せるだけでなく、アートそのものを教えていくことも必要。先人の作品を見ながら超一流の講師に教わることにより、熱海の地から第二の横山大観を生み出したい」と話す。
講師には、いずれも東京芸術大学名誉教授の保科豊巳さんと北郷悟さんを招いた。開講に当たり、3倍を超える倍率で全国から応募のあった志望者の書類審査と面接審査を実施。合格した絵画コース9人とドローイングコース8人の合わせて17人が1期生として入塾した。静岡県内や首都圏、遠くは広島県から集まった20~60代の生徒を1年間無償で教育する。
開講式で、絵画コースを担当する保科さんは「プロになるということは、絵で生活をするということだが実現は大変難しい。最大限、技術的な面でのサポートをするので、プロだと言ってもらえるように自分の目標に向かって頑張ってほしい」と呼びかけた。ドローイングコースを担当する北郷さんは「人体について徹底的に学びながら、人生で培ってきた可能性を生かしてほしい。他の受講生と刺激し合いながら、私自身は教えるというよりも一緒に研究する姿勢で切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と話す。
熱海市から参加した女性は「2017(平成29)年に独学で絵を始めてコンクールで賞を取った。2019年に熱海へ移住し、この美術館に感動して何度も見に来ていた。自分を鼓舞しようと入塾したので、このチャンスをものにしたい」と意欲を見せた。