熱海の事業者のデジタルトランスフォーメーション化をサポートする「熱海DX化推進委員会」が4月1日、設立された。
市内でデジタル分野のサービスを提供する企業の経営者らで設立した同委員会。全国的に、事業モデルを変革するデジタルトランスフォーメーション(=DX)の動きが活発になる中で、熱海市内の宿泊施設や飲食店などの事業者からDX化に関する相談数が増えてきていることから、委員会の運営メンバー同士が連携して支援に当たろうと設立した。
ホームページやオンラインショップの開設・運営代行、契約書や請求書のペーパーレス化、予約管理システムの自動化、電子決済サービスの導入など、デジタル関連の多彩な要望に個別に応じる。
同委員会の発起人で経営コンサルティング会社「コンシャスマネジメント」(熱海市春日町)を経営する磯部洋樹さんは「熱海市内にデジタル関連の相談窓口がないのが現状。地元の事業者が熱海で支援できる体制を作っていきたい」と話す。委員会の運営メンバーには、OA機器販売業「クレヨンハウス」(下多賀)の杉山恭平さん、ホームページやオンラインショップ構築などを手がける「峰」(紅葉ガ丘町)の谷清和さん、RPA(=定型業務の自動化)システム開発業「ファンディアル」(下多賀)の伊藤太志さん、まちづくりやオンライン研修を行う「machimori」(銀座町)の市来広一郎さん、団体職員の石井裕隆さんが入る。
静岡県内では、浜松市や沼津市などで企業連携により、地域の事業者のDX化を積極的に支援する動きがある。特に浜松市は、行政や地域の金融機関も加わり、デジタル分野の支援が手厚い。一方で、熱海市には観光地であることや高齢化など社会問題の先進地であるという特性がある。杉山さんは「高齢者も使いやすいデジタル機器は増えており、道筋を作っていきたい」と話す。
宿泊予約や不動産情報の管理をRPAを活用してきた実績を持つ伊藤さんは「熱海ではまだDX化で成功した事例が少ない。事業者と連携してモデルを作っていければ」と話す。
今後、同委員会ではセミナーや勉強会の開催、モデル事業者との取り組みを通して、利用者の利便性と満足度向上を目指していくという。