熱海市観光協会の観光案内所「ワカガエルステーション」(熱海市渚町)で4月23日、伊豆八十八ケ所霊場の「御朱印帳」の販売が始まった。企画は伊豆八十八ケ所霊場の再興に取り組む伊豆霊場振興会(事務局=三島市)。
観光案内所「ワカガエルステーション」で販売を始めた御朱印帳(関連画像3枚)
伊豆八十八ケ所霊場は四国や知多半島と並び江戸時代から親しまれ、明治の頃までは盛んに巡礼が行われてきたが、戦後、衰退してしまったという。首都圏からのアクセス性も良く、自然環境にも恵まれた伊豆半島の霊場を多くの人に参拝してもらうことで復活させようと、遠藤貴光さんが同振興会の4代目会長に就いた2014(平成26)年から活動を始めた。
遠藤さんは自らの足で霊場を巡りながら地道に寺院の協力を仰いで回ったという。全長400キロにも及ぶ参拝ルートを再構築。伊豆半島の中心部・伊豆の国市の寺院から始まり、三島、熱海、下田へと時計回りに伊豆半島を一周して寺院を巡るルートを作った。熱海市内では、東光寺、般若院(以上、熱海市伊豆山)、興禅寺(桜木町)、長谷寺(網代)を回る。遠藤さんは「伊豆八十八ケ所霊場のある伊豆は観光地なので、温泉旅館や海鮮料理など、旅にはとても良い地域。各所にある足湯もお遍路と相性が良い。世界ジオパークにも認定されている自然環境、日本の歴史・文化にも触れられる」と話す。
御朱印帳は、それぞれの寺院の住職が書いたものや昔の住職の筆跡を複写したものなどをまとめたという。御朱印帳の制作に当たってはプロジェクトを立ち上げ、ユーチューブの番組「令和の虎」でアピールするなどして完成にこぎ着けた。ホームページのほか、札所0番の「三明寺」(沼津市)で4月15日、御朱印帳の販売を始めた。
遠藤さんは「『令和の虎』への出演はとても緊張したが、伊豆八十八ケ所霊場にとっては最高のプロモーションになった。御朱印帳を使う若い人たちの参拝にもつながれば」と期待を寄せる。熱海市内の宿泊施設「夢いろは」(咲見町)、「さくらや旅館」(東海岸町)も、遠藤さんの呼びかけで御朱印帳の取り扱いを始めた。「伊豆半島は、熱海温泉や伊東温泉、修善寺温泉など、日本屈指の温泉街を抱えるので、宿泊施設と一緒に伊豆八十八ケ所霊場の復興を志していきたい。特に熱海は伊豆半島の入り口なので、熱海から伊豆半島全体への観光客の流れを作ることができれば。一緒に盛り上げてもらえる宿泊施設を増やしていきたい」と意欲を見せる。
価格は2,640円。