MOA美術館(熱海市桃山町)で4月23日、展覧会「粋と艶ー江戸のトップスターたちー」が始まった。
今回の展覧会では、江戸時代に東洲斎写楽や喜多川歌麿、葛飾北斎といった浮世絵師たちが描いた、歌舞伎役者や遊女、茶屋で働く看板娘らの浮世絵など約60点を展示する。
江戸時代の大都市では、芝居町や遊里などで町人の娯楽文化が開花。歌舞伎役者に加え、美貌と教養を兼ね備えた遊女、茶屋の看板娘らが、町人からスター的な存在としてもてはやされた。ファッションや髪型にも影響力を持ち、一般人がそれを真似するような存在でもあった。「勝山髷(まげ)」は、遊女の勝山が結い始めたのが由来といわれる。葛飾北斎の代表的な美人画で重要文化財の「二美人図」も展示される。
「名所腰掛八景」など美人画を多く描いた喜多川歌麿の作品や、木版画を用いた美人画で看板娘に注目を与えた鈴木春信の作品など、浮世絵の発展に大きな影響を与えた作品が数多く並ぶ。東洲斎写楽や歌川豊国などの浮世絵師が描いた歌舞伎役者らの華々しい姿も見どころの一つ。同館の学芸員は「同じ役者を描いていても、描く絵師によって表現の仕方が異なる。見比べてみるのもさまざまな表情が見られて楽しめる」と話す。歴代の市川團十郎や松本幸四郎といった歌舞伎のスター役者を描いた作品には、訪れた来場者が足を止めて見入った。
開館時間は9時30分~16時30分。木曜休館(4月29日、5月6日は開館)。観覧料は一般1,600円ほか。6月8日まで。