色街写真家・紅子さんによる写真展「熱海 夜の灯りと記憶」が現在、歴史的妓楼(ぎろう)建築の建物「旧つたや」(熱海市中央町)で開かれている。
会場となる「旧つたや」は、かつての「糸川花街」の面影を残す妓楼建築として知られ、現在、建物1階で雑貨店「ヨルノアタミ」を経営する高須賀哲さんを中心に再生プロジェクトが進められている。本展示は2階のイベントスペースを使う。
関東近郊では同規模で当時の外観の迫力を残す妓楼建築は少なく、老朽化などによる取り壊しが進む中で希少な存在とされる。建物の中には、蔦やひょうたんの装飾、曲線を描く手すりなど、当時の職人の手仕事を感じさせる細やかな意匠が随所に残されている。当初は立ち入ることもできなかった建物が、地域の手により再び開かれた場所へと変化していく過程を、紅子さんは約3年にわたり見つめ続け、その痕跡を撮影してきたという。
今回の展示では、同建物の2階6部屋を使い、紅子さんが撮影した写真に加え、花街時代の雰囲気を再現する空間や「旧つたや」再生前の様子を記録した映像の上映などを行う。写真だけではなく、空間そのものを当時のように感じられるように工夫したという。
展示タイトルに掲げる「夜の灯りと記憶」には、観光地としての熱海とは異なる歴史や背景に目を向けながら、ささやかな明かりを灯すような展示にしたいという思いを込めたという。紅子さんは「歴史的建造物としても希少な建物で展示をできることは、通常のギャラリーでの展示とは全く違う意味を持つ。この場に流れてきた時間や、ここに生きた人々の気配に思いを巡らせてもらえたら」と話す。
開催時間は、金曜・土曜=12時~22時、日曜・月曜=12時~20時。5月5日・6日は20時まで開館。入場無料。5月10日まで。