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熱海の温泉宿「SOKI ATAMI」、世界的デザインコンペティション「A’ design Award」受賞

「SOKI ATAMI」のエントランスとレストラン前の中庭(里庭)

「SOKI ATAMI」のエントランスとレストラン前の中庭(里庭)

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 熱海の高級温泉宿「SOKI ATAMI(そき・あたみ)」(熱海市小嵐町)がこのほど、世界的デザインコンペティション「A’ design Award 2021」を受賞した。

茶寮からは相模湾を望む

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 宿泊施設の企画・運営などを手掛けるUDS(東京都渋谷区)が昨年11月に開業した同施設。今回は、「SOKI ATAMI」が「建築、ビル・構造デザイン部門」でシルバーを受賞したほか、同社が経営する「ホテル ストレータ 那覇」がゴールドを、「ホテル アンテルーム 那覇」(以上、沖縄県那覇市)がシルバーを、「the rescape」(宮古島市)がブロンズを、それぞれ「インテリアスペース、商業・展示デザイン部門」で受賞した。

 「A’ design Award」は毎年イタリアで開かれる世界最大規模の国際デザインアワードで、約100カ国から優れたデザイナー、デザインコンセプト、プロダクト、サービスを表彰するコンペティション。優秀な作品から順にプラチナ、ゴールド、シルバー、アイアンの賞が贈られる。過去にも同社の宿泊施設は、多くの賞を受賞している。

 客室は「素空間」をテーマに、国産の天然木、焼き杉、左官塗り、天然色素で染めた和紙などの自然の素材を取り入れ温もりがある空間に仕上げた。きらびやかな非日常を演出するのではなく、「日常から少し脱するような感覚、心地よさを模索した」という。客室前室の土間モルタルと白木の対比や廊下のスケルトン天井と木縦格子の対比などの随所に「対比要素」を入れる。余白を残した素空間には和紙やアートワークを配し、「過不足を感じない穏やかさ」を表現した。

 天井高約4.5メートルの開放的なレストランの中央は、炭焼きを体感できる象徴的な炉を囲む食空間にデザインし、臨場感を演出する。「食することだけではなく、作られるプロセスも楽しめ、ダイレクトに食・空間共に感じることができる食事所を目指した」という。建物の内部に、さらに木の大屋根を掛けた木造建築が建っているようなデザインに仕上がった。屋根の中央から下がる黒班(まだら)染めスチール板の大きなフードが建築のシンボルになり、その下の炉と共に「このレストランの見せ場」だという。

 まちづくりにつながる事業を展開する同社では、施設で使う建材などの調達でも地場産業との連携を図った。近接する真鶴町で採掘された「本小松石」や、静岡県浜松市の「天竜材」などを館内随所で使用する。「工業的な製品としてデザインされたものではなく、素材そのものの表情を残し、ありのままのコンセプトを表現した」という。

 受賞に当たり、同社の担当者は「関係者らと一緒に作り上げたSOKI ATAMIが、世界のアワードで評価され、とても光栄。土地の自然や風土、素材を嗜む『器』としての宿を目指す。熱海の豊かな素材や風景に触れ、本来の自分を取り戻してもらえるような過ごし方を体験してほしい。今回、同アワードで入賞したUDS HOTELSの他拠点も、日本の各地に眠る魅力を表現し、多くの人に利用してもらえるように努めていきたい」と話す。

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