1806年創業の老舗温泉宿「古屋旅館」(熱海市東海岸町)社長の内田宗一郎さんが新会社「モデストスマイル」(銀座町)を設立してスイーツ事業に進出し、3月2日、1号店となる和栗スイーツカフェ「和栗菓子 kiito -生糸-」を熱海銀座商店街に開業する。
同店は、行列が絶えないという京都の「和栗専門 紗織」(京都市下京区)との共同プロジェクト。店のコンセプト、メニュー、提供方法など、全面的に開発サポートを受けたという。特徴は、低糖度のモンブランを細さ1ミリの錦糸状にして、客の目の前で絞って提供する「シズル感に訴える」エンターテインメント性と、宮崎産などの純国産和栗を100%使った「高級感ある」メニュー構成。内田さんは「丁寧に手むきした和栗を使ってモンブランに仕上げている。店内も落ち着いた雰囲気で、熱海では珍しい『大人が熱海時間を過ごすカフェ』をイメージした」と説明する。
創業200年を超える古屋旅館は、熱海では最も老舗とされる温泉旅館。新規事業に進出した理由について、内田さんは「これまで当館は、移住者も受け入れる女子寮を新設したり、宿泊予約の事前決済を導入したりするなど、さまざまな経営改革を行ってきた。まちづくりにも積極的に関わることで、熱海の活性化にも関わってきたが、にぎわいを回復してきた熱海銀座商店街で新店を出店する貴重なチャンスを頂けた。商店街の他の店と共に、街の魅力をさらに引き上げていきたい」と話す。
首都圏の非常事態宣言の発出は、熱海にも大きな影響を与えている。市内の飲食店や宿泊施設も自主休業をするところが増えている。その状況下での出店については、「コロナ禍での出店は挑戦。当館では、業界ではいち早く、新型コロナウイルス対策のテクノロジーを導入してきた。新店でも設計段階から『低濃度オゾン発生器』の設置、『ナノゾーンコート』の施工など、新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、安心して来店いただける店作りをする」と話す。
開業に向けて、「これまで旅館で培ってきたおもてなしや経験を生かしていきたい。観光のお客さまも地元の方も、ひとりでも気軽に入ることができる店にしていく。モンブランをテークアウトして、客室や自宅でも楽しめるようにする予定。新しい価値を発信していけたら」と意気込みを見せる。