MOA美術館(熱海市桃山町)で現在、展覧会「広重 東海道五十三次 版画×PHOTO」が開かれている。
今回の展覧会では、浮世絵師・歌川広重の代表作として知られる保永堂版「東海道五十三次」全55作品を同館で約2年ぶりに一挙公開する。現在の東海道の風景写真も併せて展示し、江戸時代の街道風景と現代の景観を比較しながら、歌川広重ならではの創造的な風景表現を体感できる内容とした。
浮世絵版画は、江戸時代において現代のSNSや観光ガイドのような役割を担っていたともいわれる。「東海道五十三次」は、四季の移ろいや晴れ、雨、雪、霧、風などの天気、時刻の変化などを巧みに取り入れ、臨場感を持って季節感や旅情を表しているのが特徴。人物描写にも優れており、旅人の様子を生き生きと描き出している。江戸庶民の旅への憧れをかき立てた作品として知られる。
比較展示で使われる風景写真には、同館スタッフが数年かけて撮影を続けている写真を使う。同作品で表現された風景に合わせ、時間帯や天候、季節にもこだわって撮影を行っているという。
展示室では、高精細デジタル画像で撮影した作品を、壁2面を使った横21メートル、高さ3.5メートルの大画面に映し出す映像展示も用意する。同館スタッフによるオリジナル制作で、小さな版画の中に込められた繊細な表現や職人技をより感じられる内容となっている。
同館広報担当者は「『東海道五十三次』の全55作品を一度に見られる機会なので、作品の世界観に触れてもらいたい。さまざまな角度から楽しみながら、版画の魅力や日本の技術の繊細さにも注目してほしい」と話す。
開館時間は9時30分~16時30分。木曜休館。観覧料は一般2,000円ほか。7月7日まで。