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熱海「アカオ」社外取締役に女性経営者2人 富裕層向けサービス開発に期待

中野善寿さん、熊谷美代子さん、坊垣佳奈さん、稲増佑子さん(左から)

中野善寿さん、熊谷美代子さん、坊垣佳奈さん、稲増佑子さん(左から)

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 熱海の「ACAO SPA & RESORT」(熱海市上多賀)に新たに女性取締役2人が加わる。同社が6月19日、新しい役員体制を発表した。

アカオフォレスト周辺整備を進めながら富裕層向けサービス開発を進める(関連画像5枚)

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 新たな役員体制では、これまでの代表取締役CEOの中野善寿さん、代表取締役の熊谷美代子さんに加え、社外取締役にマクアケ(東京都渋谷区)取締役の坊垣佳奈さんとTOKI(渋谷区)代表取締役の稲増佑子さんがそれぞれ就任。取締役4人の体制とした。

 観光庭園「ACAO FOREST(アカオフォレスト)」や「ACAO BEACH(アカオビーチ)」を含む広大な所有地を生かした統合型リゾート事業などを展開する同社。昨年12月には、約160億円を投じてアカオフォレスト周辺の曽我浦エリアを整備し、2027年までに富裕層向けの宿泊施設などを開業する計画を発表。アカオフォレスト内にも景観と自然を生かした新施設の整備を進めている。

 中野さんは「日本のサービス業のあり方を変えていく必要がある。世界に目を向ければ、建物などハード面だけでなく、ソフト面を充実させていかなければ海外に太刀打ちできない。熱海に数カ月滞在してもらう長期滞在ビラとしての宿泊施設を作るうえで、宿泊者の要望を1カ所でコーディネートできるコンシェルジュサービスが必要。新しい取締役には、海外やインバウンド(訪日外国人)向けサービス、ものづくりや新しい体験サービスの開発などに知見のあるメンバーを据えた。このメンバーで熱海発のサービスを手がけていきたい」と話す。

 中野さんが「行動が突き抜けている」と認める熊谷さんは、東方文化支援財団のリーダーとして同社が2021年から進めるアートプロジェクト「PROJECT ATAMI」などを強力にサポートしてきた実績を持つ。坊垣さんはマクアケの共同創業者として、応援購入サービス「Makuake」の事業拡大に従事。中小事業者の新商品・新事業開発のサポートを続ける。稲増さんが社長を務めるTOKIは、インバウンド向けに日本の伝統文化や芸術体験を提供する。長い海外生活や外資系コンサルティング会社に勤めていた経験もあり、国内外の観光動向に明るい。

 熱海の印象について、坊垣さんは「再起の可能性がある街だと感じる。土地自体の魅力だけでなく、地域を愛して盛り上げたいという人の熱狂が必要」と話し、「中野さんのオリジナルなビジョンの大きさが街を変える期待もあるし、自分たちでそれを形にしていきたい」と力を込める。稲増さんは「熱海はバブル期に栄えたリゾート地のイメージ。実際に何度か熱海に足を運んだが、夜やることがない。観光客が来ても楽しめるコンテンツが少ない。地理的な優位性は、ヨットやヘリコプターなどの交通でさらに良くなる」と話し、「中野さんにはグローバルな視点がある。世界の富裕層を熱海に呼び込むことで、日本の新しい観光都市のモデルケースにできるのでは」と期待を膨らませる。

 同社は現在、熱海市内に約5000坪の土地を活用したアーティストの居住と交流施設「ATAMI ART VILLAGE(アタミアートビレッジ)」の整備を進めている。文化体験プロジェクトと位置づけ、子どもたちが自然の中で仲間と一緒に自由な発想で創作活動をしたり、アーティストと交流を図ったりできる環境を提供するという。世界中のアートを愛する富裕層がアーティストを支援する「ACAO ATAMI CLUB」の設立も進めている。

 このほかにも教育環境を整備する計画もあるという中野さんは「私たちが熱海にただ遊園地を作っても意味がない。地方再生のあり方を考えた時に、10年、20年先のことしか考えないような計画ではなく、100年後を見据えた妄想が大事。自分が死んでも残った人がその妄想をクリエートしていってくれるはず」と力を込める。

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