温泉旅館「熱海 大観荘」（熱海市林ガ丘町）の大浴場「山王の湯」が8月8日、リニューアルオープンした。

日本の四季を演出する箱庭がある露天風呂

　同館は画家・横山大観ゆかりの宿として知られ、大観も同館から望む相模湾の景色にほれ込み、宿泊して絵筆を取ったという。造園家・龍居松之助が設計した庭園や建築家・平田雅哉が手掛けた客室など、歴史的にも価値のある旅館として知られる。

　大浴場のリニューアルに当たり、同館の清水輝さんは「大観荘の歴史的建築物の良さや和のイメージ、景観を大切にしながらも、モダンなデザインと安心して利用してもらえる浴場に仕上がった」と説明する。

　「天空のオーシャンビュー」をテーマにした浴槽はインフィニティー化により、相模湾と風呂が一体化したような現代的なしつらえにした。夜間は外部タイル面に設置した照明が幻想的な雰囲気を醸し出すという。露天風呂には貴重な石材と植物の箱庭を作り、日本の四季を演出する。

　平田雅哉も用いた菱格子、山王の由来である松をモチーフにしたデザインなどにより、「和の風情を大切にした」という。水風呂の新設や洗い場のパーテーション設置なども行い、宿泊客の利便性とプライバシーにも配慮した改装を実施した。

　清水さんは「大観荘らしさを感じてもらいつつ、リニューアルして新しくなった大浴場でゆっくりとした時間を楽しんでもらえれば」と期待を寄せる。

　大浴場は宿泊のみ利用できる。