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熱海・伊豆山の土石流災害、復旧作業続く 市内の事業者は被災者支援の動き

避難者を乗せたマイクロバスが到着した「熱海ニューフジヤホテル」

避難者を乗せたマイクロバスが到着した「熱海ニューフジヤホテル」

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 7月3日に発生した熱海市伊豆山地区の土石流災害を受け、熱海市内の事業者が被災者や帰宅困難者の支援を積極的に始めている。

通行止めの国道135号、熱海商工会議所付近

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 土石流により、国道135号、熱海ビーチライン、市道伊豆山神社線など熱海から湯河原方面に抜ける道路は土石流によって寸断された。JRの在来線も運休となり、交通網が麻痺した。熱海市が設置した避難所などには、4日朝の時点で387人が身を寄せた。

 熱海駅そばのゲストハウス「ennova(エンノバ)」(熱海市春日町)は3日の災害発生直後、SNSで「お困りの方へ」と題して呼び掛けた。「ゲストハウスのベッド、土砂災害危険区域の方に向けて、無料開放します。泊まるところに困っている方、行く場所のない方、お越しください」と続けた。呼び掛けを受け、3日は伊豆山在住の2人が宿泊したという。店主の小口真世さんは「夜には駅に帰宅困難者がいないか確認しに行った。避難所ではネット環境が整っておらず、シャワーも無いため、少しでも落ち着いて過ごしてもらえればと思い、受け入れを決めた」と話す。

 伊豆山周辺では断水も発生している。熱海銀座商店街のゲストハウス「MARUYA」(銀座町)では、断水が解消するまでの期間、同施設のシャワーの無料開放を決めた。3日は帰宅困難者の宿泊もあったという。熱海サンビーチ近くの温泉旅館「渚館」(渚町)でも、被災者に向けて温泉風呂の無料開放を決め、SNSで発信するなど、市内の宿泊施設が自主的に支援を行う。4日午後には、「熱海ニューフジヤホテル」(銀座町)が避難所に身を寄せていた人たちの受け入れを始め、避難者を乗せたマイクロバスが続々と到着した。

 一方で、ペットを飼う住民の中には、ペットと共に自宅に残ろうとする人もいるという。熱海ニューフジヤホテル近くのペットホテル「スピンクの家」(咲見町)では4日午後の時点で被災者などからの問い合わせは無いが、空床が埋まるまでは宿泊を受け付ける。熱海駅前のペットホテル「The Lax」(春日町)では、4日夕方の時点で空床があり、5日の朝から予約を受け付ける。

 熱海サンビーチ前に店を構えるサンドイッチ専門店「熱海フルーツキング」(渚町)は4日午後、同店の商品を避難所などに配った。フルーツサンドやフルーツゼリーを約260個準備した。同店のスタッフは「店は臨時休業し、朝から準備をした。こんな時なので自分たちなりにできることをやりたかった。準備した数では足りなかった」と話す。市内の他の飲食店や宿泊施設でも、食料などを無償提供する動きが見られた。

 現場近くに事務所を構える介護タクシー会社「伊豆おはな」(伊豆山)の河瀬豊さんと愛美さんは、消防団や町内会の人たちと協力し、取り残された高齢者の現場から避難所への送迎を行った。愛美さんは「一時的に事務所に戻ることはできたが、周辺は土石流に飲み込まれており、できる限りの救護活動を行った」と話す。豊さんは「自分たちも被災者だが、5日から通常業務もあるため、それにしっかり備えたい」と表情を引き締めた。

 現場では地元消防、県警、自衛隊などが懸命の救助活動と復旧作業を続ける。熱海市では「熱海市災害ボランティアセンター」を開設し、フェイスブックで情報発信を行う予定。

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