MOA美術館(熱海市桃山町)で現在、展覧会「生誕150年 吉田博展」が開かれている。
明治から昭和にかけて活躍した画家・吉田博の生誕150年を記念して開催する。水彩画、油彩画、木版画など、吉田が手がけたさまざまな作品を公開。水彩画、油彩画、木版画をそろって展示するのは、同館では約20年ぶりとなる。国内外の風景を題材に制作した作品を通して、技法による表現の違いや画家としての活動の変遷を見ることができる。自身が実際に見た風景を水彩や油彩、木版画など異なる技法で表現したものもあり、同じ場所を描いた作品を見比べながら、技法によって変化する色や描き方の違いも楽しめる。
中でも注目を集めるのが、近年米国で発見され、日本に里帰りした水彩画の大作「街道と馬」。今回、日本で初公開となる作品で、自然や風景だけでなく、人間や動物にも目を向けた吉田の表現を見ることができる。
木版画では、朝、昼、夕、夜など時間帯によって色を変えて同じ風景を表現する「瀬戸内海集 帆船(はんせん)」など、光の変化を捉えた作品も見どころの一つ。吉田は木版画の制作において、彫りや刷りを専門家に任せながらも、色の調合や絵の具については自ら確認するなど、制作工程にも細かく関わったという。
吉田は山を好み、登山家としても知られる。標高3000メートル級の山から望んだ景色を描くなど、国内外の自然を題材にした作品も多く残している。会場では、米国のグランドキャニオンなど、雄大な自然を捉えた作品も紹介する。静岡にゆかりのあるものとして、伊豆長岡の風景を描いた油彩画「初秋」も展示する。
会場では、孫の吉田司さんへのインタビュー動画も公開する。日本初公開となる「街道と馬」との出会いや、実際に使っていた道具箱について紹介するなど、制作の背景にも触れられる内容となっている。
同館広報担当者は「生誕150年として吉田博の自然観や芸術の世界を水彩、油彩、木版画など、さまざまな表現方法で描かれた風景を通して楽しんでもらえたら」と話す。
開館時間は9時30分〜16時30分。木曜休館。観覧料は一般2,000円ほか。10月20日まで。